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バブルの時代

バブル時代は様々な企業が跳梁跋扈した時代だ。
何せ、昨日まで単なる土地持ちの農業従事者がいきなり不動産会社の社長になってしまうのだから。CM業界もそんなにわか成金クライアントを相手にすることが多くなった。
 このクライアント様達がまあ、びっくらこく程に世間知らずでしかも殿様商売根性むき出しで笑えた。
 関西の不動産屋が自然動物園を作った。当時は全国区で話題になった。数年後にあっさりと潰れた。で、開業した時のCM音楽を担当した。当時の社長はクラシックが大好きで当然の事ながら自社CMの音楽もクラシックでやりたいとご所望された。最初はカラヤンかバーンスタインの指揮でやりたいと仰せられた。予算が出てこないのでとりあえずエージェントに打診はしてみる。指揮代1500万円・・・まあ当たり前だ。
それをそのまま代理店通して伝えたら、クライアント激怒。100万円でなんとか
しろと仰せられた。無理。しかも100万円は指揮代のみならず、オーケストラ全てのギャランティ込みの金額だったのだ。唖然呆然憮然。つーか、バカ。成金親父につき合う気はなかったのであっさりと断った。したらだ、100万円で出来る音を試しに聞かせろとのリコメント。出来ない事ではないのでスタンバイした。CMに合わせて作曲してアレンジもした。当日、ご大層なベンツで社長がやってきた。
スタジオに入り、演奏の様子をじっと見ながらなぜか社長憮然としていた。
そして、レコーディングが始まった瞬間、社長は怒鳴った。
「なんで指揮者が俺にケツ向けてるんだ!!」

「はいっ????????????????!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!。」

いやはや、現在に至るまでこれだけ目が点になる注文は無かった。普通さ、クラシックのコンサートでだよ、指揮者が客席向く事って無いでしょ。女王陛下ご臨席でも指揮者はケツ向けるでしょ。訳解らん。

で、この日の録音は社長が激怒してスタジオから出て行ってしまって中止。
さすがに広告代理店もこっちに文句付ける訳にも行かず、目を伏せながら社長の後を追って行った。

 お次は名古屋の某アンテナメーカーのはなし。
CMの最後に会社名や商品名をメロディに乗せて歌う事をサウンドロゴという。また、メロディにはせず、音楽バックでナレーションする事もある。
当社制作の「三井のリハウス」や「ロッテコアラのマーチ」は今でもご使用頂いているロングラン作品だ。
 さて、このアンテナメーカーのご注文はCMの最後に企業名を「英語」発音でナレーションとして付けたいというもの。
このアンテナメーカーの創業社長は生粋の三河人。まあ日本国内の常識とは一線を画しているお国柄だから、すんなりとはいかないとは思った。
 さっそく外タレのマネージメントを専門とする稲川素子事務所にキャスティングをお願いした。もちろん白人アングロサクソン系。
 しかし、何度録音してお聞かせしてもNGを喰らうのだ。出来る限りゆっくりと喋ってもらったり、一音一音を丁寧に発音してもらってもダメ。どうやら社長がお気に召さないらしい。広告代理店を通じての苦情では埒があかないと思われたのか、しまいには宣伝部も全てすっ飛ばして社長ご自身が直接僕に電話をしてきた。で、電話口でとても甲高い声で怒鳴るのだった。
「おみゃーさんら、発音が悪すぎるでよ!!ええか、今からわしが言うからよー聞いとってちょ。ミャースプロ、ミャースプロ、ミャースプロ・・・」
社長、ホントにそれでいいんでしょうか?日本全国に流れるんですけど。
やりましたよ。もはや社名違ってるんだけどね。
そう言えばこの時のCMソングは当時当社にしょっちゅう出入りしていたチャラを起用した。
「♪見えすぎちゃってこまる~」という有名なフレーズ。よもやそれから一年後にブレイクするなんて誰も予想できなかなかった。
その後、charaという名前でデビューし大ブレイクした時にこの会社は再びcharaが歌唱したCMをオンエアしようとした。当然メーカーも事務所もOK出す訳が無い。諦めて頂く為に何度も名古屋に通ったものだった。しかし今考えるとこの社長は凄いと思う。一代であれだけ会社をでかくし、決してスマートではないが広告戦略も群を抜いている。目立ってこそのCMだからね。

当時はデベロッパー関係のCMが多かった。しかし、今残っている会社は殆どない。

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